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2007年04月06日

■Thinking About Barrier【16】

『脳機能回復音楽療法』

阪田久美子

先日、私が所属する音楽セラピーで地域の人達との交流を兼ねた発表会があった。港区縁の歌である「春の小川」ではこんな風にするとよかったかも知れない。「春の小川は、さらさらいくよ」の、「小川は」と「いくよ」を言葉がうまく出ない人に歌って貰う。自分のパートに責任を持たせるのがいいという訳である。

 FMT脳機能回復音楽療法では、その特徴が障害者にも療法士にも音楽性を必要としない事に注目したい。療法士はピアノが弾けなければいけないが、クラッシックでなければという事ではなく、療法中に必要な譜面やコードが弾ければいいという事である。この療法の対象はとても広いそうだ。FMT療法ではピアノを弾く療法士と打楽器などを演奏する障害者が1対1のアンサンブル方式で音楽を演奏するという事だそうだ。私の音楽療法士は障害者夫々が論法を持って自分のパートを進めるように指導するのだが、その論法を解く事で脳を使い、楽器を演奏する事で体を使うユニークな音楽療法だという事になる。また、友達と一緒に演奏する事により、人間関係を築く事に時間を要する障害者たちも少しずつながらも療法士との間に好ましい関係を築いていけるという訳だ。脳卒中をきたした人では、様々な程度の片麻痺や言語障害などが生じる。私自身、左脳出血の後遺症で強度の右片麻痺を受容している。そこで、脳血管障害の際にみられる失語とか失音楽症について触れてみよう。
 失語・失音楽症に対する早期のリハビリとして、MIT (MelodicIntonation Therapy) という療法がある。メロディック・イントネーション・セラピーか、なるほど、英語をそのまま片仮名にした方が分かりやすい。ある童謡関係の友人が母親について語っていた。「母は喋れなくても馴染みの歌は完璧に歌えるのよね」韻律の原則を用いて、句や文を一定のリズムや音楽パターンで、歌うように話させてリハビリを続けるといいのかも知れない。メロディー、リズム、強勢を調節しながら、意味的にも統語的にも完全な句や文を使って行う訳だ。音楽セッション中に一切の言語を用いないセラピー法であるFMT脳機能回復音楽療法では、療法士がピアノを弾き、障害者が太鼓などを演奏する訳だ。太鼓などで自発的な活動を促すリハビリテーション的意味合いがあるという事である。多くの脳機能を使う言語によるコミュニケーションを避けて音楽と運動に脳機能を集中的に使うおうという事である。音楽療法の効果が認められつつあるが、今後、脳の広い領域を刺激するリハビリの方向性と異なったトライアルが生まれる可
能性があるのは必至である。英語を駆使して日本語を見事に蘇らせた私は、是非、そこで脳奥の左右にある尾状核という部分の内の左側を活発に活動させて英語脳の素晴しい力を借りて、失語症も克服させてあげたいものだ、と思っている。

阪田久美子

阪田さんのBlog「脳のミステリー」http://blog.goo.ne.jp/ban-kuko/

投稿者 bfc : 2007年04月06日 11:46