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2009年07月02日

脳を考える(3)

一條俊之

神経トリガーについて考えてみましょう。
 脳の損傷を受けた人はどんな状態なのでしょうか?
壊れた神経網が神経の伝達を阻害するため、神経トリガーが不安定になり、新たな神経網が出来づらくなります。
そして、神経トリガーが不安定となると、他の神経網に影響を与える物質を出す?これが不安、緊張の原因かもしれません。
 では、どうすれば神経トリガーを安心させたらよいでしょうか。

私は神経トリガーを原始的な成長過程で出来上がる神経網だと先に述べました。
ですから、成長過程の状態を想像してください。母親の胎内にいる状態は無理ですが、記憶がある小さい時のことは想像できるでしょう。
 近くに優しい両親がおりました。何かと世話を焼いてくれて有難い存在でした。その優しさに包まれて心は楽しさで一杯です。見るもの聞くもの新鮮です。褒められて楽しくなります。この状態を脳に障害を受けた人に作り出すことができれば、神経トリガーが活性化します。褒められて意欲がでること、そして楽しさがヒントです。
 しかし、神経トリガーは人間の成長過程で新たな神経網が被さり人格形成の過程で深層深部まで押し込められます。押し込められた神経トリガーを呼び戻すことは難しいことです。大人になるつれ、社会性を獲得する過程で人は様々な顔を持つようになります。その顔は、年とともに神経トリガーに被さった神経網で作られるのです。それを一時的でも取ることができれば神経トリガーが活性化します。褒められて意欲がでること、そして楽しさがヒントです。
090702.jpgfig-2

次に脳に損傷を受けた人と違って、ご老人が痴呆症となったり、呆けることを考えてみましょう。
 痴呆症の原因は何でしょうか?新たに作られた神経網全体が衰えること。また、神経トリガーが活動していないことだと思います。
 一方、呆けた老人は昔のことを良く覚えています。
神経トリガーに近い神経網は活動しやすい。
神経トリガーに近い神経網とは、成長過程で形成されたものです。
例えば、子供の時の記憶、経験は蘇りやすいということです。
090702_2.jpgfig-3

 ①と②がキャッチボールすることにより、神経トリガーが活発となり脳全体が活性化する。
ですから、ご老人が昔話をすること、それを聞いてあげることは脳全体の活性化に繋がります。「その話は前にも聞いたよ」と話を遮ることは神経トリガーを押し込めることになりますので注意したいことです。
 例えば、昔の家族の写真やビデオを見せて説明してもらうことなど神経トリガーの活性化に役立ちます。神経トリガーが活性化すれば安心、安定に繋がり、より神経網が作られ回復します。脳細胞は一生増えつづけます。脳神経も一生増え続けます。神経トリガーを活性化させれば衰えた神経網をカバーするように神経網が作られるので、脳は衰えることはないのです。

 私は自分の貴重な経験で感じたことを述べさせていただきました。
 私の体験・考えが、今後脳障害で苦しんでいる本人、その回りの人々の助けになることを願ってやみません。
脳は素晴らしい回復力を持っています。
そして、我々人間に明るい希望に満ちた未来を見せてくれるのです。

脳に感謝します。そして人間に。

一條俊之


参考 一條俊之の略歴及び病歴
1955年9月22日生 53歳
職種 建設エンジニア 技術士、一級建築士。
2005年3月22日 発病 右側脳出血 
・過去(2001年)に発病していた経験があり自分で救急車を呼び緊急入院
・左側完全麻痺で重度の障害
・ 出血多量であったがため、緊急手術の可否を本人に判断を委ねられるが、自分としては、自分の脳にメスを入れられることを拒否した。(自分の脳が外的に損傷を受けることが怖かった、脳が言わせたのかもしれない。)
2005.3月31日まで
 手術をしないで点滴治療にて回復。
リハビリ病院への転院準備。左脚、股関節の筋肉の発熱によって体温が下がらずリハビリ病院への転院が遅れる。(思うに、この症状は左足のリハビリの後であった。出血した右脳が驚いたかもしれない。)
2005.4月埼玉県の天草リハビリ病院に転院。
歩行訓練を中心としたリハビリを行う。車椅子生活。
自分の周りには同じ境遇の人がいることを認識し、お互い励ます合うことでリハビリに精を出した。皆さんは、脳が混乱している中で如何に社会性を保つかが大きな課題であった。社会性とは脳に大きな力を与えるものだと認識した。皆で病院のカラオケに行った時のことです。皆で歌い雰囲気がのってきた時、障害のあるご老人がおもむろに、「姉ちゃん、火。」と看護婦さんに向かって車椅子から立ち上がったのです。そのカラオケルームは薄暗くなっていたので、そのご老人が通ったクラブと錯覚したのでしょう。後から、皆で大笑いです。脳障害者は社会から離れます。ふとした弾みで社会性のある自分に戻ると思わぬ行動ができます。立てなかった老人が立ってしまうのです。不思議です。
脳障害を患った人は、特に社会から離れます。そのため、ますます萎縮して神経トリガーを押し込めるようになるのかもしれません。
2005 8月 リハビリ病院退院
デイサービス利用にて自宅にてリハビリ。病院には週1回のリハビリ。
2005 12月 会社復帰(これから月1回)
2006 4月 会社復帰 通常勤務。通勤はタクシー利用。
2008 6月 バス利用による通勤。
2009 4月 水中訓練開始  現在に至る。

投稿者 bfc : 2009年07月02日 11:41